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備忘録!!

面白いと思った記事や本を紹介したいと思います。

大学新入生に向けた(実用的な)読書案内(2017年3月時点)

とあるきっかけがあって、18歳のこれから大学に入る学生のための読書案内をまとめようと思ったところ、せっかくなのでブログにもまとめてみようと思います。

 

この記事は、大学新入生向けの読書案内であり、自分が18歳に戻れたら大学時代どうすごすかな。という振り返りでもあります。

 

①大学時代の過ごし方について

 以下のブログ記事がとても有益だと思うので、まずはこちらを先に読んでください。

(リメイク)これから大学に入学する新入生のために - かねどーのブログ

 

 大学を卒業して3年間、(比較的忙しいとされる業種の)社会人として働く中で、今の大学生が学生時代に蓄積できる経験・知識は社会に出てからも大きな財産になることばかりだと改めて感じています。

 18歳の自分にもし会えるなら、

・周りの同調圧力に屈せず、自分の可能性を追求しよう

・学問の方法論を学ぼう

・とにかく社会に出て、広い世界を見よう

という3点を全力で伝えたいと思います。

(1点追加するなら、「大学の成績はとても重要。取り返しがつかないので大事にすべき」です。) 

 

②読書案内

こちらについては、上記ブログとは趣旨が少し異なり、「実用的な」書籍を紹介したいと思います。

 

自分自身の経験からすると、世の中の大半の大学生はそもそも論理的な議論を行うスキルが不足しています。(たとえ最上位の大学であっても全員が身に着けているものではない)

 

これは学問をする上でも、社会で働く上でも重要なスキルであり、本来高校~大学前半くらいに全力で叩き込まれるべき項目だと思うのですが、あまり日本の高校・大学では学ぶ機会がないので、大学入学時~1年以内くらいに優先して身に着けるべきだと考えています。一見遠回りでも、学業・課外活動・就職活動ともに役立つと思います。

 

個人的には大学入学のタイミングくらいでこれら必須スキルを身に着けてしまったほうが、後の学生生活が実り多いものになると思うのですが、比較的世の中の読書案内は大学4年間で読むべき書籍に関するものが多いように感じたので、あえて俗っぽいリストを作成してみました。

なお、いい本は思いつかなかったのですが、このほかに必要な基礎スキルとしては、学術論文の書き方、引用の仕方などのお作法が挙げられます。これは英米の大学では1年生が厳しく叩き込まれるスキルなのですが、日本の大学でぼーっと過ごすと身につかない可能性があるので、積極的に大学で学ぶべきだと思います。

 

(なお、ここでは大学1年時にスキルを一気に高めるための書籍を中心に紹介していますが、大学時代は自分の仕事に関係ない書籍を大量に読むことが出来る貴重な機会なので、下記のような即効性の高いものだけでなく、古典を含めて幅広い分野の読書をおすすめします。)

 

<必読編>

読みやすくて、かつ誰でもほぼ確実に役に立つと思われるもの。とにかくとっつきやすいことを重視しています。

 

1. イシューから始めよ

 

誰が何と言おうと、まず第一におすすめしたい本です。

マッキンゼーを経て、Yale大学で脳神経科学Ph.Dを取得され、現在ヤフー(株)のCSOを務められている安宅和人さんが、問題解決にあたって最短距離を走るための方法論を説明されています。アカデミックにおいても実務においてもベースとなる思考方法なので、何度も読んで体得すべき。

 

2. 入門・考える技術・書く技術

 

かの有名なバーバラ・ミントの「考える技術・書く技術」のエッセンスを抽出した上で、日本語向けにカスタマイズされています。

論理的な文章を書く上で必要な考え方を学ぶには、最低限読んでおくべき書籍だと思っています。なお、私が就活相談を受けた際には、まずこの本を読んで文書の書き方をよく学ぶことを薦めています。

 

3. 読書について

 

古典ですが、読みやすいと思います。

読書は先人の知恵を学ぶ上で非常に効率のいい手段ですが、本書においてショウペンハウエルは、ただ多くの本を読むだけで、自分の頭で考えないことの危険性を指摘しています。

 

4. 論理学トレーニング101題

議論を行う際、また、就職活動にあたって筆記試験に臨む際などにも論理学のベースがあるととにかく有利なので、誰でも一度は論理学にきちんと触れるべきだと思います。

 

言い訳をしておくと、私はこの本を読んでいません。(これ以外の本を数冊読みました)私自身は大学で論理学関係の授業をとり、各種試験で論理テストみたいなものも大量に対策する必要があったので、大学入学から常に論理学的思考に触れる機会がありました。また、専攻も経済学なので、日々数学にも触れていました。

ただ、振り返ってみると、論理学的思考を学ぶ上では本書が最もよく推薦される名著なので、まずはこの本をしっかりと身に着けるのが近道だと思います。

 

5. ハーバード流交渉術

 議論の進め方について学ぶなら。「交渉術」というと何か相手をだましてかすめ取るような印象を持たれるかもしれませんが、本書で主張されているのはWin-WIn型の交渉を原則とすべきということです。建設的な議論を進める上でのベースとなることが書かれています。

なお、個人的には交渉における感情の在り方に焦点を当てた以下の本も学びが大きかったですが、「ハーバード流交渉術」ほど評判が確立してはいないので参考まで。

 

6. ひたすら読むエコノミクス

 ミクロ経済学についてのわかりやすい入門書です。ミクロ経済学はなにせとっつきずらいので嫌われがちですが、社会・組織の中でどうすれば最適な資源分配が可能になるか?ということについて論理的な解を導くための非常に有益なツールです。

個人的に、多くの人にとってマクロ経済学の理解はほどほどでよいと思うのですが、ミクロ経済学的思考は誰にとっても極めて有益だと思っています。

 

 

 7. 採用基準 

論理・議論に関する書籍、というくくりとは外れますが、ぜひおすすめしたいものです。元マッキンゼーの採用担当である伊賀泰代さんがリーダーシップの重要性について説いています。「リーダーシップ」というと、ついつい「○○委員長」「○○部長」などの役職をイメージしがちですが、リーダーシップとは一人一人が持つべきスキルであるとしています。

スキルとしてのリーダーシップという概念を世に広めた本だと思います。就職活動を進める上でもリーダーシップ経験は問われる機会が多くなるかと思うので、早い段階で読んでおくことに意味はあると思います。

 

なお、著者の方はよくも悪くもバブル期に大学を卒業された方ということもあり、やや学問を軽視する傾向にありますが、私はこの点については同意しません。

 

 

 

<おすすめ編>

誰でも、とは言わないのですが、ぜひ読んでみてほしい書籍たちです。(古典・文学は除く)

※古典や文学は載せ始めると大量になってしまうのでここでは割愛します。

※下記の書籍の解説は気が向いたら追記します。また、気分次第でいろいろ変わります。

 

 

なお、楽しい読書については、以下のリンクなども参考になると思います。

大学教師が新入生に薦める100冊: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

 

 

「現代日本の官僚制」

行政

つい最近発売になった、曽我先生の「現代日本の官僚制」が興味深い内容だったので、備忘まで。

 

前半でいくつかの概念を定義したうえで、ミクロ経済学による理論分析と、国際比較や各省庁の人事データに基づく計量分析を行い、ファクトベースで議論を行っている点が魅力的です。

 

筆者は、日本の官僚制は、政治から権限を大きく委譲されている一方、国民からの信頼が低い(代表制が低い)と主張します。 

 

印象に残った点は以下のとおり。

・(事務次官・局長の人事異動サイクルを分析したところ)特に政治の関心の強い大蔵省や通産省は戦後早期に人事異動の慣例を確立し、人事への政治介入を防いできた。

・橋本行革以降の流れとして、内閣官房の機能強化が進み、統合が進められている一方、その人員は各省からの出向などによるものが多く、規模に対して権限が小さく、調整機能を果たすことが多い。

・各省庁が政治介入を防ぐために人事サイクルを確立する中で、ジェネラリスト志向が強まっている。

行政改革の議論の中では、公務員の専門性をどのように確保していくかという論点が欠落していた。

 

***

小選挙区制の下、政治システムが急速に官邸主導となっていく中で、対応する官僚機構が十分に適応できていない問題を感じました。官僚機構の改革における、各省庁をアクターとしたパワーゲームを実際のデータで示しているのは画期的なのではないでしょうか。

 

個人的な感覚としても、1、2年で異動を繰り返すジェネラリスト志向のキャリア官僚に、「シンクタンク機能」を求めることは難しいように感じますし、重要な政策決定における司令塔機能が不透明な首相周囲の関係者で担われている現状には問題があるように思います。

遠回りに見える課題ですが、そもそもの人事制度の在り方を含め、慣例にとらわれない改革が必要な分野だと改めて感じました。

 

曽我 謙悟 (著) 「現代日本の官僚制」

主要目次

1 本書のめざすところと議論の進め方
2 官僚制の政治学
3 理論で捉える:政治的産物としての官僚制
4 組織編成の国際比較
5 統制と技能の国際比較
6 変化の中の日本の官僚制
7 日本の官僚制:その組織編成
8 日本の官僚制:統制と技能
9 官僚制の政治的効果と政策的効果
10 いかなる展望が見出せるのか

ネイト・シルバー氏がトランプ勝利の可能性を高く見積もっていた理由

記事紹介 米国情勢 統計

先日行われた米国大統領選の事前予測について、著名なデータサイエンティストであり今回も選挙予測を行っていたNate Silver氏が11月11日にブログ記事を書いています。大統領選というよりも、統計分析の話として面白かったので、簡単にポイントを付けて共有したいと思います。

fivethirtyeight.com

 

(なお、僕自身は統計や投票行動の専門家でもなく、彼が専門家として現在どの程度信頼されているかについても正確に理解しているわけではないので、彼の記事を引用することについて違和感があればご指摘いただけるとありがたいです。)

Nate Silver氏は、日本でも2013年頃にブームとなった「シグナル&ノイズ」の著者で、2012年の米国大統領選挙の結果を正確に予想したことでよく知られています。
今回の選挙では、他の予測サイトがトランプ氏勝利の確率について15%~1%以下としている中、Nate Silver氏が運営するサイト”Five Thirty Eight”は、約30%という比較的高い当選確率を示していました。今回のブログ記事では、「なぜ我々の予測は他の予測と比べてトランプ氏勝利の確率を高く推定していたのか」ということを分析するとともに、多くのメディアや人々がヒラリー勝利の予想に偏っていたことを批判しています。

***
<ポイント>
① モデルによる投票予測は、世論調査が完全に正確でないから意味がある。
世論調査においては全国の結果よりも、州ごとの結果の方が、誤差は大きくなる。
③ ある州における投票結果は、周囲の州の結果と強い相関がある。
④ 直前まで態度を決めていない、あるいは第三党支持者の動向は予測と結果の関係に大きな影響を及ぼす。
⑤ 今回の選挙における事前の世論調査に特別大きな誤差があったわけではない。
⑥ 今回の世論調査には、過去の選挙と同程度の、「ほどほど(modest)の」誤差があったが、その程度の誤差であっても大方の予想を反してトランプ氏が当選するには十分だった。
⑦ 今回のトランプ勝利を「予想外」のものとしたのは、世論調査の誤差よりも、ジャーナリストの思い込み。

<概略>
(要約ではなく、重要と思った箇所を適宜ピックアップして再構成しています。原文にはもっといろいろなことが書いてあります。)

まず、モデルによる投票結果分析の意義は、世論調査が完全に正確ではないために生じます。
世論調査が完全に正確であれば世論調査の結果をそのまま読めばよいので、モデルを用いて当選確率を示すことには意味がありません。誤差を考慮に入れた上で、可能範囲の予測を示すことに、数理モデルを用いた投票分析の意味があります。

Five Thirty Eightの選挙予測は、1972年以降の大統領選挙における世論調査結果の正確性のデータに基づいています。例えば、選挙最終週の世論調査と実際の投票結果には、平均2%の誤差が生じます。これは、単純なサンプリングエラーよりも大きいので、世論調査結果には規則的な誤差が生じていると考えられます。 

このような誤差は、全国レベルよりも州レベルでより大きくなります。例えば、トランプ支持者が多い白人中所得層と、クリントン支持者が多いヒスパニック系において、世論調査への回答率が低かったと仮定します。この時、彼らの意見は世論調査では現れないものの、選挙結果には反映されます。
全国では、それぞれの効果がある程度打ち消しあうため、世論調査と選挙結果のずれは比較的小さくなると見込まれます。しかし、州ごとで見ると、白人中所得層の多い州では、トランプ氏が世論調査よりも多い票を得る一方、ヒスパニック系の多い州ではクリントン氏が世論調査よりも多い票を得ることになります。米国大統領選は原則州ごとに選挙人を総取りする方式なので、こうした州ごとのずれの影響が大きくなります。
Five Thirty Eightは、過去のデータにおけるこのような州ごとの特色を考慮しています。

今回、この影響は大きく出ました。クリントン氏は11の州で事前の世論調査よりも多い得票率を得ました。特にカリフォルニアでは世論調査を5ポイント上回る支持を得ています。しかし、その内9つの州はもともと民主党優位な地域であったため、結果としてあまり有利になりませんでした。
他方、中西部・ペンシルバニアなどでは、世論調査を大きく下回る結果となりました。これらの州には激戦区が多く含まれていたため、クリントン氏はこれらの地域で予想以上に選挙人を失うこととなりました。

また、ある州での選挙結果は周りの州の選挙結果と相関があります。例えば、中西部及びペンシルバニアは似た動向を示す傾向にあり、これらの地域でクリントン氏が予想以上に苦戦したことは、今回の結果に大きな影響を与えました。
これはFive Thirty Eight が4年前にオバマ氏の勝利を予測し、今回クリントン氏の勝率を低く見積もった共通の原因の一つです。

さらに、直前まで態度を決めていなかった投票者の動向が大きな影響を与えました。態度を決めていない人の投票行動を予測することは難しく、このような人が多い場合には予測と結果のブレは大きくなりがちです。また、トランプ氏は最後の2週間で大きく支持を伸ばしましたが、事前の結果予測において、選挙直前の世論調査の動向をどの程度織り込むべきかについては議論があり、予測モデルによってもその反映の程度は異なります。

今回の選挙において、世論調査の結果に特別大きな誤差があったという考えには強く反論します。今回の選挙における世論調査でも過去の選挙と同程度のmodestな誤差があり、それらの誤差はトランプ氏の勝利を導くのに十分でした。

多くの人が今回の結果や英国のEU離脱を予想外に感じたのは、事前の思い込みから偏ったデータの見方をしていたことにあり、データを丁寧に分析していれば今回の結果はそれほど予想外のものではなかったはずです。

***
(以下個人の感想)
以下のNew York Timesのページでは、各種調査における事前予測の比較がなされています。(州ごとの非常に詳細なデータです)

http://www.nytimes.com/interactive/2016/upshot/presidential-polls-forecast.html?_r=0#other-forecasts

 

多くのメディアにとって予想外の結果になったにせよ、こうした形で様々な事前分析が行われ、終わった後には予測の振り返りが行われるというのはとても面白い文化だと思いますし、日本でももっと普及するといいなと思います。

2012年の選挙でほとんどの州の結果を的中させたNate Silver氏が今回の選挙ではヒラリー勝利に70%の確率を置いていたことをもって、統計分析の意義自体に疑問を投げかけるような言説をちょくちょく見かけたのですが、このような形で冷静に分析手法の特徴と限界を検討しつつ、適切な形で判断に利用していくことが重要なのだと感じました。

なお、今回引用した記事は選挙後の11月11日の投稿ですが、以下の10月24日の投稿ではより詳細にFive Thirty Eightのモデルとその他のモデルの違いを説明しています。