フラッシュ・ボーイズ
米国内市場間でのタイムラグを利用した高頻度取引(HFT)業者の鞘取りが市場取引をゆがめているという問題意識を持ったブラッド・カツヤマ氏が独自の取引所IEXを立ち上げるまでのノン・フィクション。
目の前の市場に違和感を感じたブラッド・カツヤマ氏が、その原因を探求し、それぞれ違った専門性を持つ仲間を見つけ、金融市場改革のために自ら市場を立ち上げる、という流れはさながら金融市場版ワンピースという感じで、胸が熱くなりました。
「生涯投資家」や少し前の「未来政府」を読んだ時にも感じたことですが、自分が見つけた目の前の問題について、情熱を持って自ら解決策を生み出すような人たちが少しずつ社会を動かすんだなと思いました。
HFTやPTS、ダークプールについては知識不足なので、IEXの評価はできないですが、少なくとも物語としてはとても面白かったです。
(参考)
・ブラッド・カツヤマ氏のインタビュー記事
・岩井・関 (2014). 金融・証券規制 米国で注目が集まる高頻度取引 (HFT) の功罪を巡る議論. 野村資本市場クォータリー, 18(1), 25-33.
・Osipovich, A. (2017, October 26). Startup Exchange Cleared to Take on NYSE, Nasdaq for Stock Listings. Wall Street Journal